2016年4月19日火曜日

New Album「Two for The Road 」オンラインでお求めできます。

先月発売になりましたBill Crowさんとの共演アルバム「Two For The Road」がiTunes, Amazon, Google Play 等で購入、聴けるようになりました。
是非この機会にお求め下さい。

Google Play Music
iTunes
Amazon

このバンドは毎週ブルックリンのSageというタイレストランで演奏しているのですが、2年ほど一緒に演奏していていつかこの音を残したいと思っていたのが、念願かなって今回録音、発売に至ったものです。

録音当時Bill Crow さんは88歳、何を思ったか録音スタジオに大きな牛乳パックを持ってきて、それを飲みつつ演奏していたのが大変印象的でした。

最近の録音は大概楽器ごとに別々のブースに入って後で細かい調整や録り直しがきくように録ることが多いのですが、今回はBillさんとGreg は同じ部屋でヘッドホンなしで、仕切られた僕の場所から生音が聞こえるようにし、普段演奏している感覚に近い感じで生音そのままの感じを活かすように録りました。
普段Bill さんは演奏時に自分用の折りたたみ椅子を持ってくるのですが、そんなわけでその椅子の軋みまで聞こえるような録音になっています。
そんなsetting もあってかBill さんも録音された自分の音に大満足で自分の音がすると喜んでいました。

というわけでmixing もほとんど手を加えずにバランスもほぼ演奏時のものになっています。
証拠にといってはなんですが、このアルバムに入っている「Eclypso」ブリッジのメロディーを僕が間違えて吹き始めてしまい、そのままアドリブで吹き通しているのですが、結局そのTake が一番良くそのまま直さずに収録しています。
ノイズやそういった不完全なものも含めて楽しんで聞いてもらえると嬉しいです。

実はそういった不完全さを許容してそこに美しさを見出し、楽しむといった態度こそが僕がここNew York で学んだものなのかもしれません。


2016年4月6日水曜日

勝手に、海外在住日本人あるあるシリーズ その一

勝手に、海外在住日本人あるあるシリーズ!

1,ウォシュレット

公共のトイレがすごく綺麗でウォシュレットが付いている!
否でも不特定多数が使うトイレでウォシュレット大丈夫なの?と思ってしまう。

2,ゴミ箱

ゴミ箱が全然ないから何か買った時のゴミに困る。
しかもコンビニでドーナッツ買っただけでも3重くらいに包装されて出てくる。
”袋いいです”をへたしたら二回ほど言わなくてはならない。
それにもかかわらず街が綺麗なのはすごいよね。

3,赤信号

New Yorkでは赤信号でも車が来なければ(来ても渡ることあるけど)横断するのが普通(お巡りさんは勿論何にも言わない)。
みんな急いでいる風なのに、えっ待つの赤信号車来てないのに。と思ってしまう。

4,会話

電車等公共の場での会話がみんな理解できてしまう。ほら一応英語は僕にとっては外国語だしちょっと気を向けないと耳に入って来ないんです。
それとNew Yorkは色々な人種が住んでいるから話される言語も多様。
初めて住んだ場所はいわゆる スパニッシュ・ハーレムで全然英語分からないじゃないと思っていたらスペイン語だった経験あり。

5,声

自分の声がやたらでかい。いやこっちの人って声大きいんですよ。
あと基本的にこっちで日本語で話しているときは周りが理解していないという気持ちでいるので、そのつもりでいると会話が全部筒抜け。

6,新幹線の売り子さん

新幹線の売り子さんが綺麗!
じゃあお茶ください。なんて言いたくもなりますね。
しかしあの車両を出るときに一々お辞儀するのはなんでだろう?

7,みんな痩せて見える。

はいみんな痩せて見えます。
女性なんかはちょっとふくよかくらいの方が魅力があっていいのにな、と思います。
痩せているのが良いみたいな風潮があるんでしょうかね。

8,列

基本的に混んでいても空いていても電車に乗るときは並ぶ。
これはNew Yorkでも是非浸透してほしいなと思います。

9,何を食べても美味しい

これはもうそのままです。

10,人混み

こっちでは体や物が触れることに対してすごく敏感なので、ちょっと触れただけでも"Excuse me " なり”sorry"と言います。(防犯上気をつけているというのは少なからずあると思います。)
空港から荷物もって電車に乗ると、荷物を持っているから当たって当然みたいに感じられ結構凹みます。

2015年8月11日火曜日

公園での思い出

公園で演奏していると様々な人に出会ったり、色々な出来事が起こったりしますが今回はその中から一つ。

多分7,8年前のことでしょうか、今はメインで演奏しているのはマンハッタンの西北部にある Washington Sq park ですが、その当時は主にマンハッタンの真ん中に位置するCentral Park で演奏していました。
このセントラルパーク、映画等にもよく出てくるのでニューヨークに来たことのない人でも、どこかでその風景を見てる人が多いのではないでしょうか?
僕が見た中でぱっと思いついて印象に残っているのは「ダイハード」や「フィッシャーキング」等が挙げられます。
しかし、ニューヨークは本当に毎日のようにいたるところで撮影が行われています。僕が演奏しているワシントンSQでも行ったら映画撮影が始まって演奏できない!なんてことも時々あります。(そんな時は交渉するのですがこの辺りの話は又別の機会に。)

でそのセントラルパーク、大きい公園なのでいくつかの演奏スポットがあるのですが、当時僕が演奏していたのはパーク南東にある子供動物園の近く。
因みにこの動物園まだ行ったことないのですが、公園を歩いていくとセイウチやアシカが泳ぐプールが見えたりして、小さいですが意外に楽しそうです。

そんな場所柄、観光客や現地の人を含め子供連れの人が多く立ち寄る場所なんですね。

それは多分初夏の凄く過ごしやすい天気の一日だったと思います。
その日のメンバーはこの写真に写っているトランペットのStepko Gut さんとベースのDimitry さんとあとドラム(誰だったかは忘れてしまいました。)で演奏していました。
因みにこのトランペットのStepkoさん日本では全くと言っていいほど無名ですが、故Clark Terry 直系の凄く歌う素晴らしい演奏をします。僕もこのStepkoさんからDoodleタンギングの手ほどきを受けました。


多分なにか軽快なテンポの曲を演奏していた時のことだと思います。
4,5歳位の子供が一人踊り始めたんですね。子供って本当に正直なものでSwingする時はすぐに体を動かして乗ってくるんです。逆に子供が動いてないときは演奏に何かが欠けていると思って間違いないと思います。
そうしたらもう一人多分全く関係のない子供だと思うんですが、その子と手を繋ぎ合って踊り始めたのです。
そこまではよくある光景なので、演奏しつつ横目で今日は乗っているなーなんて思いつつ吹いていたんです。
そうしたらその場にいた子供全員、多分5,6人でしょうかその子供達が手を取り合ってこの写真にあるようなチップ入れのケースの周りを踊りながら周り始めたのです。
木々からもれる初夏の優しい午後の日差しの中で、世界が際限なく喜びとともに拡がっていくような感じでした。
そこには演奏する人や聞く人といったものはなく、それらを超越した何かが確実にそこにあったと思います。
もし天国というものがあるとすれば、その時僕たちはそこにいたのかもしれませんし、まるでみんなの集合意識で飛ぶ宇宙船に乗って離陸したような感じさえしました。

僕はなぜだか自然に涙が出てきて、演奏しながらその涙を堪えるのに大変だったのを覚えています。
演奏を終えてある種茫然となって周りのメンバーを見渡すと、みんなが目に涙をためています。
言葉を失うとはよく言いますが、人間自分を超越したものに出会うと言葉を失うものなのかもしれません。

それが何だったか今考えてみてもわからないのですが、その時の情景ははっきりと覚えており、その瞬間は奇跡であり真実であったのは間違いはありません。

それ以来そんな経験はしていないですし、これからするかもわからないですが(もしするとしてもそれは全く違う形で現れてくるように思います。)その時の経験はまるで強烈な光によって焼き付けられた影のように、僕の中へとどまり僕の人生に反映していくように思うのです。







2015年8月4日火曜日

続々・芸は身を助ける

さて、僕が乗った次の駅で乗り込んできた警察官二人、別に慌てる様子や警戒するでもなく他の乗客のチケットを確認し、ついに僕のところに来ました。
「チケット見せて。」
僕はポケットの中をわざと指先でまさぐるようにしながら、先ほど電車に乗った駅で拾ったチケットを無言のまま差し出しました。
「これは有効でないから、ダメだね。」
この時僕がどういう表情をしていたかは定かではありませんが、いわゆる挙動不審だったのではないでしょうか。
頭の中ではものすごいスピードで様々な状況を想定して、シュミレーションが行われています。
「罰金はどのくらいなんだろう。いや罰金だけで済めばいいけど、最悪留置所だぞ。そうしたら誰に電話を一番にかけるべきだろうか。」などといった会話が頭の中で繰り広げられています。と同時にほら言わんこっちゃないという声や、お前はこの非日常を期待していたんだろう、等といった声も聞こえます。

「次の駅でとりあえず降りてもらえる?」
と警官に言われ素直に従って降りることにしました。

言われて降りた駅はNew Jersey 郊外の周りにはお店も何もない無人駅。真っ暗で閑散としています。
「ID とポケットの中の物出して。」
その日、僕は週末でBusking(ストリートで演奏することをこちらではバスキングと言います。)したためポケットの中には$100ほどの現金が1ドル、5ドル紙幣で入っていました。
余談ですがこちらはクレジット社会なのであまりみんな現金を持ち歩きません。大体感覚としたら$20もポケットに入っていたら安心でしょうか。
こんなに現金を持っているのは明らかにおかしいわけであり、ドラッグディーラーに勘違いされるのではないだろうか等と思いつつ、その考えとは無関係に警察官二人は僕の所持品をチェックしていきます。

前述のようにその日演奏していた僕は背中に大きなトランペットとフリューゲルホーンが入っていいる黒い革製のケースを持っていたのですが、警察官がそれを指差しこれはなんだと半分好奇心を含んだような声で聞いてきます。
「僕は音楽家なのでこれはトランペットとフリューゲルホーンです。」という返事が終わるか終わらない前に、
「開けて見せろ。」
という声によってそれは真夜中の無人駅で開けられました。
あまり、音楽に馴染みのない人たちだったのでしょうか、いちいちケースから楽器を取り出させて興味深そうに見ています。
「分かった。もうしまっていいよ。」

そんなこんなでひとしきりチェックが終わったあと、何やら二人の警察官が僕と少し距離をおいて話しています。小さい声で話していたのであまり聞き取れなかったのですが、感じとしては、
警官1「こいつどうしようか?」
警官2「怪しそうな奴じゃないけど、お前に任せるよ。」
みたいなことを言っているように思えました。

どのくらいの時間が経っていたかは定かではありませんが、その間電車が一本も来なかったことを考えると、僕が感じていた気のくれるような長さとは裏腹にそれほど大した時間ではなかったように思えます。

二人は話を終えて僕の所へ戻ってきましたが、先ほどの尋問するような調子とは少し声のトーンが和らいでいるように思えます。

僕のケースを指さしつつ
「これちょっと吹いてみてくれ。」
一瞬なにが起こっているか理解できませんでしたが、さっと状況を理解すると頭の中では何百とあるレパートリーの中からこの状況に一番良いと思われる曲を高速でスキャンし始めます。

で、出てきたのが Thelonious Monk の「Round about midnight 」!
まあムードのある曲だし、深夜12時位だったのでその辺の humor も含めてこの曲を選んだように記憶しています。

この曲に運命がかかっている!と思った僕はものすごいプレッシャーの中、指が震えたりするのを押しのけつつ曲を吹き始めました。
途中二人の警察官がこんな会話をするのが聞こえてきます。
「いいなー、こいつ。」
「なんか今ビールでもあったら、飲みながら聞きたい気分だよ。」

深夜の誰もいない真っ暗な駅(地上の駅です。)に僕の音が響き渡ります。
緊張しているせいもあってなかなか思うようには吹けません。
が、一音入魂の思いで吹き続けます。

やっとのことで演奏を終わると、先ほどまで悦に入って聴いていた警察官が言いました。
「今日は許してあげるから、そこでチケットを買って次の電車でいきなさい。」


その時の心境はどんなのだったかあまり覚えていませんが、ぐっと疲労感が襲って来たのは覚えています。

立ち去ろうとする警官達、楽器をしまおうとする僕。
ふと、その警官が踵を返して戻ってきます。
「すわっ、気が変わったのかな。」
と思った矢先にその警官から出てきた言葉は、全く僕の予想しないものでした。

「もう一つの楽器(フリューゲルホーン)の音も聞きたいから、もう一曲吹いてくれ。」

そのリクエストに答えてすかさず僕が選んで吹いたのは、

「 What a wonderful world 」




2015年7月31日金曜日

続・芸は身を助ける。

New Jersey を走っているLight Railに深夜拾った切符で乗ったのまでが前回。

そして乗った次の駅で、僕の第六感が訴えかけていた事が見事的中するのです。
前回、それまで何度となく乗っていた電車で、チケットを確認する人にあったことがないと書きましたが、次の駅で乗ってきたのは警察官二人組?!

因みにこれはNew York CItyだけなのかもしれませんが、こっちの警察官は無実の人を殺害するニュース等が伝えているように、あんまり信頼できません。
道聞いても日本のおまわりさんのように丁寧に答えてくれませんし、変な疑いをかけられでもしたら、相手は権力をかさに留置所にでも入れられるので、なるべくなら関わりたくない存在です。僕自身も何度かかなり不愉快な目になったことがありますが、それは又の機会に。

先程書いたように、電車の中は乗客もまばら、ぱっとみ不審な人も見当たりません。
僕の頭の中はその時パニック、だからあの直感に従っておけばよかったんだと後悔するも時すでに遅し。

この直感というやつも厄介なもので悪いことは当たることが多いのですが、今日は宝くじ当たりそうだから買いに行こう等と思って買っても未だ当たった事がありません。
因みになんで僕がここNew Yorkに住めるかというと、ほんのきっかけで出した抽選グリーンカードが当たったからであり、決して偽装結婚とかをしたわけではないと一応断っておきます。
この話も又別の機会に。


警察官は電車職員とは違うのでチケットを確認しはしないであろう、という淡い期待をよそに、その二人の警察官は数少ない乗客のチケットを確認し始めます。
この拾ったチケットが有効かどうか確かめられる!なんて喜んでいたわけでなく、罰金で済んだら良いものの下手したら留置所かも等という事態も想定に入れ、明日の仕事穴開けたらどうしようなんて考えていたように思います。


続く。

2015年7月30日木曜日

芸は身を助ける。

芸は身を助ける、とはよく言いますがそのおかげで助かった時の話。

もう、5,6年前でしょうかNew York に隣接する州New Jersey にその当時友人が住んでいまして、よく遊びに行ったんですね。
その家にいくにはいくつか違う電車を乗り換えないといけないのですが、その一つにLight rail という電車があるんです。
まあ3,4両編成のいわゆるモノレールみたいなものなのですが、ちょっと切符のシステムが変わっていまして、券売機で切符を買ったあとその隣にあるスタンプを押す機械に入れるようになっているんです。
そうすると、どこの駅でどこの時間に切符を買ったかみたいのがわかるんですね。
なんでこんな面倒な事しないといけないかというと(アメリカは普通の日本人が思っている以上に効率が悪いです。例えばスーパーで品物を入れるビニール袋や紙袋、すぐ破れるので基本全部二重にしてくれます。巷ではダブルバッグなんて言いますが、これ僕から言わしてもらえればなんで丈夫なの一つにしないんだ!って思うんです。だってバッグももったいないし、わざわざ全部の袋を二重にするなんて手間も時間もかかるではないですか!)、電車には改札もなく誰でも乗れるんですね、それで電車に乗ったあとに係のひとが来て切符をチェックするシステムになっているんです。

それで何十回となくその電車乗っているんですけど、見ていると降りた人が待っている人に使ったチケット渡したりしているんですよ、これいるっ?みたいな感じで。
それをいつも横目で見つつ僕はいつもチケット買っていたんですね。
でも、何十回も乗っているのに一度もチケットを見せる係の人にあったことがないんです。

そこで、ある夏の夜友人宅に行った帰りの深夜、終電間際なんか今日はふと違う事をやってみたいという欲求がふつふつと湧き上がってきたんです。
その反面僕の第六感は絶対にやめておけという声が、ものすごい大きな音で頭の中になっているわけです。大体こういう時の直感は信じるに越したことはないと経験上知っていたのですが、この時はその声よりも自分のバカなエゴが勝ってしまったんですね。

それでまあその辺に落ちていた、時間が近い切符を拾ってそれで電車に乗ってしまったんです。

時刻は深夜一二時位、そんな時間にマンハッタンにいく人もあまりいず電車の中の乗客はまばら。

その時です。ハプニングが起こったのは。

次回に続く。